「すっからかん」である。
脳みそが呆けている。
圧倒的な力の前に私は「無力」だと感じているのだ。
今までこんなことは何度もあった。ただ泣くだけだった若造の頃よりは立ち向かえてはいるが、そんな化石のような時代と比べている場合ではない。
「再び立ち上がれる時間」は短縮できてはいる。だが「変化球」はまだ受けきれていない。
もともとイレギュラーに弱い。
弱点は弱点としてつかみ取れてはいても変則的に来ると細胞が追い付かない。
昔から自分でも驚くほど能動的な瞬発力は高いが身体が追い付かないから足元が絡んで転ぶこの感覚。
脳みその奥の血管がゆっくりと破裂し、じんわりとした寒気が左後ろの上から迫ってきた。
記憶に刻まれるほどのこの鋭さに歯を震わせ私はただ下を向く。

幸い吐き気のするような「悪」の空気ではない。
だが正統派の波動でもないことは私の生命が感じ取ってる。
禍々しくもなければ温かみもない。
「前世で知っている」そんな超常現象に全部ぶっこんで仕舞えば楽だろう。
しかしこれは「現実」なんだという認識だけはある。
そしてこの感触に「名前」を付けようと未熟な私は全身から汗をかきながら必死にキーボードを叩いて探している。
厚みのない探求心が前を向いて目を見開いている。
「自分なりの答えを出す」これで今の私は出来ている。
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