日常の断片

ほとんど毎日

私は「自分から話しかける」タイプの人間ではない。

無口なわけでも今は日常会話ができないわけでもない。

ただ完全に脳みそがオフの時に話しかけられるとたいてい支離滅裂になり後から「ああいっておけばよかった」が必ずあるタイプである。

頭ではいろんな言葉が出てくるのに口から出るのは「順番を間違えた」言葉たち。

優しい相手はにこやかに聞いてはくれるが、高圧的な相手は首をかしげる。

どちらにせよ申し訳ない気持ちになり居心地が悪い。

上手く話せない日々を長年過ごし、こんな時のために「ある程度」用意した言葉を繋げるが「話しかけられることを予期していない場面」では頭の中は一気に言葉たちが慌てふためく。

これは美味しそうなデザートのケータリングを見つけて注文を待っている間、従業員のお嬢さんに気さくに話しかけられた時の話だ。

こういう時「相手がうらやましい」と思う。

相手さんは客商売とはいえ「会話」をする口火を切ることが出来ない私は、うらやましい。

その人の中にある「勇気」がうらやましい。

目が合った時「会釈」で終わる私は「ああ、話しかければよかった」と後から思う。

変に行動力があるくせに「内向的」な部分が出ると「気恥ずかしい」

こんなことを繰り返しても「次こそは」なんて思う私はその辺はだいぶ「前向き」にはなった。

日常に「ある程度」の緊張感も必要だと知ると背筋が伸びる。

胸を張っていきたい私にはこれくらいが良いのだろう。

あの時のお嬢さんに感謝の言葉が浮かぶ。

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