輪郭のない肖像

喉の奥の骨が一本だけ取れた感覚がある。

私は何が好きで何が嫌いで、どう生きていきたいのか。

「自分のことは自分がよくわかっている」のは思い込み。

私が誰よりも私のことを知っているというレッテルをだましだまし引っ付けていた。

無意識の領域は広い。

私はとんでもなく見果てぬ夢を見ていたんだろうと感じる。

今の自分でさえ絶え間なく変化しているということに気が付いていても、いざ手に取ってみると心には何も感じていない。

私はこういう人間だという「認識のずれ」が気が付かないうちに様々なところに刺さっていた。

人と関わるたびに感情の波が荒れる。

過去の自分が黒い手を伸ばして忌まわしい記憶をまた張り付ける。

見捨てた何かと見落とした何かがごちゃ混ぜになって顔を伏せて歩くのはごめんだ。

自分というわからない世界を、そのまま受け止めてみようと思う。

知ったつもりにならず、また新しい私を見つけていこうと思う。

確かな輪郭は見えないかもしれないが、その完成しない作業を続けられるよう私という存在を見続けたい。

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