「父」が兄の所から置手紙を残して出ていった。
予想外というより驚きを通り越して、呆れた。
だが私はすぐさま頭の中が切り替えられたことに、自分の気持ちの行き場所を正確に持っていけたことにもすんなりと受け止められた。
「もう死んだものと考える」
もともと自分勝手に生きていた人だ。何かしらのアクションは起こすと思っていたが、90歳の突き抜けた行動に感動もした。
自分で決めたのだから覚悟もあることだろう。
90歳の老人とはいえ自分で決めた「一人の人間」で「大人」だ。
勝手に野垂れ死ね。
そうは思っていても、この騒動には「からくり」いわば裏で動いている人間がいると憶測とはいえ簡単に出来るのだ。
自分を甘やかしてくれる人物に頼るのが、世の常。
予想はついているよ。
まあとにかく私の「父」を看取る覚悟を不意にされたわけだし怒りも多少ながらにあるが、肩の荷が下りた。
私自身が一番楽になったことは否定しない。早々に「父」のために用意していた資料などはすぐに一掃した。
もう好き勝手生きて勝手に死ね。
「父」のおかげで今この時点でわかったことは「自分勝手に生きるということを実現して経験させてくれた見本」として心に留めておくことだ。
今はこんな言葉でしか表せないし落ち着いたらまた何かが自分の中の変化があるかもしれない。
まだまだこれからの後始末があるわけだが、そこは実兄に負担がかかるので自分が出来る精一杯のサポートをしていく。
兄嫁さんにもお礼と今までお世話と負担もかけたことだから、何か素敵なものが送れれば良いなとギフトカタログを開く。
まったい楽しいひと時だったぜ「父」よ。これだけかき回しておいて自分はさっさととんずらですか。
お前がやったことは一生許さない。
そうここまで思わせて私に力をくれたことは感謝する。
これにて「父」の劇場は「一旦終幕」
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