私は生命保険などの大型タイプのものに入っていない。
同年代では若いころから立派に終身保険など入っている人もいるだろう。
現在の給料で出来る範囲など期間限定の少額の掛け捨て保険ぐらいなものだ。
その分「私がしっかり健康管理しなきゃ」なんて頭の隅には思っていても、あちこちポンコツにはなってきた。
数日前も頭痛がひどく吐いたので今回はMRI検査を進められ、空きのタイミングも良かったので受けてきた。
初めてなので緊張したが頭の中で何か考えていれば良いだろうと安易に考えた。
まず「目を開けてはいけない」と思った。
目をつぶっていてもなんとなく機械が頭の周りにある圧力なんか感じてしまって、たぶんパニックになると確信した。
マスクで息苦しいのも気のせいだと頭で理解していたが大きく深呼吸を繰り返す。
そしてふと別のことを考えようと思って頭の中をめぐるのは「殺意」である。
この国の政治のやり方に「殺意」が私の中で高まり物騒な考えさえも平気で思いつくような自分に嫌気もあるのだが、頭の中で「あいつらをやるまでは絶対に死ねん！」と堂々と思うとMRI検査の圧迫感に打ち勝てた。
ならば思った以上に音が大きい検査音が、まるで音楽のリズムになりファンファーレのように聞こえ始めた。
「殺意」は私を救う。
途中で面白くなって笑った。
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