何かに脅されているようにとまではいかないが、そういう時期はあった。
「人から良く思われたい」からの行動である。
今となっては何故あんなことをしてまで自分をよく見せようと思ったのかわからないのだが、当時の私にとっては借金まで背負ってまで見栄を張ってしなければならなかったことなのだと感じる。
そうしなければ私はきっと死んでしまうと、その時はなにもかも「必死」だったのだ。
誰からも求められなくなったら怖くてたまらず道を誤ってしまった例である。
結果その時の周りの人間もお金も無くなったわけだが「お金でつながった縁は切れる」と見事なまでに経験した。
そして現在に至るわけだが、多かれ少なかれ「人の目を気にしている」ことは変わりないが形が明らかに違うのは「どう思われても良い」「不潔には見られたくはない」ことぐらいだ。
今更ながら何とかこの境地に辿り着いた。そしていつまた「人の目が気になる」自分に後戻りするかもしれないと感じる。
私はそういう人間だもの。
まあその時はその時だ。
そう思いながら時々目の前にいる鏡を常時気にして前髪を何度も整え離れられない若者を見るたび「とことん気にしたら良い」と見守ることにしている。
どんな思いで鏡の前に立っているのかわからないが、この子らも今が一生懸命なのだと感じる。
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